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鉄骨鉄筋コンクリート造の耐用年数!法定は65年?物理的寿命との差は?

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)はその堅牢性から、多くの集合住宅や商業ビル、オフィスビルなどで採用されている構造です。
建物を資産として捉える際、その価値を評価するための基準となる「法定耐用年数」と、実際の建物がどのくらいの期間使用に耐えうるかを示す「物理的寿命」という二つの側面があります。
特に、税務上の減価償却計算に用いられる法定耐用年数と、適切なメンテナンスによって延びる実際の耐久年数について、具体的な数値を把握しておくことは、長期的な資産管理において非常に重要となります。
今回は、SRC造の建物に焦点を当て、これらの年数について詳しく解説していきます。

鉄骨鉄筋コンクリート造の法定耐用年数

SRC造の法定耐用年数は65年

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、鉄骨(S)と鉄筋(R)をコンクリート(C)で包み込んだ構造であり、高い強度と耐久性を誇ります。
このSRC造の建物の法定耐用年数は、税法上の規定により、新築の場合、木造や軽量鉄骨造よりも長い47年と定められています。
ただし、これは建物の種類や構造によって細かく分類されており、一般的なSRC造の建物(事務所用、店舗用、住宅用など)は、最も長い区分である「美術工芸品・金属加工用途」や「貯蔵槽、タンク、サイロ等」に次いで、65年という年数が適用されるケースが多く見られます。
これは、建物の構造的な頑丈さや耐久性を考慮した結果と言えます。

法定耐用年数は減価償却計算の基準となる

法定耐用年数とは、文字通り法律で定められた耐用年数のことであり、これは建物の実際の寿命とは異なる概念です。
具体的には、事業用資産として取得した建物の購入費用や建築費用を、その資産を使用できる期間に応じて費用計上していく「減価償却」計算を行う際の基準となります。
例えば、65年の法定耐用年数が適用されるSRC造の建物を新築した場合、その建築費用は65年間かけて少しずつ経費として計上していくことになり、これにより、毎年の所得税や法人税の計算において、課税対象となる所得を圧縮することができます。
したがって、不動産投資や事業用不動産の取得を検討する際には、この法定耐用年数を把握し、キャッシュフローや税金対策を計画することが不可欠となります。

SRC造の建物は物理的に何年持つ?

適切なメンテナンスで100年以上も可能

SRC造の建物の法定耐用年数は65年である一方、その物理的な寿命は、適切な維持管理が行われることを前提とすれば、法定耐用年数を大幅に超えることが可能です。
SRC造はその構造の特性上、非常に耐久性が高く、地震や火災に対する強度も優れています。
日々の使用による老朽化や、風雨、紫外線などによる外部環境からの影響に対して、構造躯体自体は長期間にわたりその性能を維持しやすい傾向にあります。
実際に、適切な時期に定期的な点検を行い、必要に応じた補修やリフォームを継続的に実施している建物であれば、築50年以上経過しても、新築時と変わらない、あるいはそれ以上の快適性や安全性を保ちながら、100年以上、場合によってはそれ以上の期間にわたって使用されている例も数多く存在します。

物理的寿命はメンテナンス状況で大きく変わる

建物の物理的な寿命を決定づける最も重要な要因の一つが、メンテナンスの実施状況です。
SRC造であっても、定期的な点検や計画的な修繕を怠れば、建物の劣化は想定よりも早く進行する可能性があります。
例えば、外壁のシーリング材の劣化による雨水の浸入、屋上やバルコニーの防水層の破損による漏水、あるいは共用部分の設備の老朽化などを放置すると、建物全体の耐久性に悪影響を及ぼし、大規模な修繕が必要になったり、結果的に建物の寿命を縮めてしまうことになりかねません。
逆に、建物の管理組合やオーナーが、長期修繕計画に基づき、外壁塗装、防水工事、給排水管の更新、エレベーターのメンテナンスなどを計画的に実施し、建物のコンディションを良好に保つことで、SRC造ならではの資産価値を長期にわたって維持し、物理的な寿命を最大限に延ばすことが可能となります。

まとめ

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物に関して、税務上の計算基準となる「法定耐用年数」は65年と定められており、これは減価償却費の計算に用いられます。
しかし、これはあくまで会計上の期間であり、建物の実際の耐久性を示すものではありません。
SRC造の建物は、その堅牢な構造ゆえに、適切なメンテナンスと管理が継続的に行われることを前提とすれば、物理的には100年以上という長期間にわたって使用することが十分に可能です。
建物の価値を長期的に維持し、安全で快適な居住・使用環境を保つためには、法定耐用年数と物理的寿命の違いを理解し、計画的な維持管理に努めることが極めて重要となります。