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空き家をリノベーションする人が増えている理由とは?

古い家に新しい価値を見つける暮らし

近年、日本の空き家を購入し、リノベーションして住まいや店舗、宿泊施設として活用する人が増えています。

かつては「古い」「住みにくい」「資産価値が低い」と考えられがちだった空き家。しかし現在では、都市部や地方を問わず、古い家ならではの魅力を生かしながら、自分らしい暮らしを実現する選択肢として注目されています。

空き家は過去20年で約2倍に

国土交通省によると、使用目的のない空き家は、平成15年の約212万戸から令和5年には約386万戸へ増加しました。20年間でおよそ2倍になったことになります。

空き家が増える背景には、人口減少や高齢化、相続、都市部への人口集中などがあります。親が住んでいた家を相続したものの、誰も住まず、そのまま管理されないケースも少なくありません。

人が住まなくなった住宅は、換気不足によるカビや湿気、雨漏り、害虫、庭木の繁茂などによって、徐々に傷んでいきます。放置期間が長くなるほど、修繕費や解体費が増え、売却や賃貸が難しくなる可能性もあります。

こうした社会的な課題がある一方で、空き家を「負動産」ではなく「活用できる資産」として見直す人も増えています。

外国人から見た日本の空き家

日本の空き家は、海外の人々からも注目されています。

TBS NEWS DIGでは、スウェーデン出身の男性が東京・中野区の築53年の住宅を購入し、民泊として活用するためにリノベーションしている様子が紹介されました。床を解体してコンクリートを施工するなど、単に内装をおしゃれにするだけでなく、耐震性や安全性にも配慮した改修を行っています。https://www.youtube.com/watch?v=7adRLbDvypc

また、スウェーデンで育った家が築120年だったという男性は、「古いから安い」という日本の住宅市場について、海外とは異なる感覚だと語っています。海外では、築年数が古くても立地や建物の品質によって住宅価値が維持されることが多く、日本の古民家や空き家に独自の魅力を感じる人がいるのです。

BBC News Japanも、日本の空き家を購入して改装する外国人や、空き家を紹介するインフルエンサーを取り上げています。東京近郊や地方では、海外の主要都市と比較して住宅を取得しやすいことが、注目される理由の一つとなっています。https://www.youtube.com/watch?v=vSVfaAj3Hzk  https://www.youtube.com/watch?v=vSVfaAj3Hzk

ただし、空き家は購入すればすぐに住めるとは限りません。雨漏り、シロアリ、配管の老朽化、断熱不足、耐震性など、購入前に確認すべき点が数多くあります。

古い家だからこそ残せるもの

空き家の魅力は、価格だけではありません。

築年数の経った日本家屋には、新築住宅では再現しにくい素材や意匠が残されています。

  • 太い柱や梁。
  • 縁側や床の間。
  • 欄間や障子、襖。
  • 土壁や砂壁。
  • タイル張りの浴室。
  • 庭とつながる開口部。
  • 無垢材ならではの経年変化。

テレビ朝日の取材では、外国人の空き家案内人が、古い木材の艶や丸太梁、陶器製の電気器具などを「宝物」として紹介していました。日本人には見慣れたものでも、海外の人から見ると、長い時間を経た素材や伝統的な空間が大きな魅力になることがあります。

また、別の事例では、築45年の住宅について、1階は大きく改修しながら、2階の柱や梁などはできるだけ残す工夫が行われています。古い構造材を見せる吹き抜けを設けることで、暗くなりがちな日本家屋に開放感を生み出しています。

リノベーションは、古いものをすべて新しくすることではありません。建物の歴史や素材の魅力を残しながら、現在の暮らしに必要な性能を加えることが重要です。

リノベーションの目的が多様化

空き家の活用方法は、居住用住宅だけではありません。

1. 自分らしいマイホーム

新築住宅では、土地探しから始める必要があります。しかし、空き家なら既存の建物と土地を活用できるため、立地や敷地の広さを含めて検討しやすい場合があります。

特に地方では、庭や畑、車庫、蔵などが付属している物件もあります。都会では得にくい広さや自然環境を求め、地方の空き家へ移住する人もいます。

熊本県阿蘇市の事例では、アメリカ出身の男性が、立地、地域とのつながり、自然環境を重視して空き家を探していました。最終的には、近隣住民との交流や畑を作れる環境に魅力を感じ、購入を決めています。

2. 店舗や事務所

古民家や空き家の雰囲気を生かし、カフェ、レストラン、工房、ギャラリー、サロンなどに改修する方法もあります。

新築店舗にはない梁や土壁、庭、建具などが、店舗の個性やブランドイメージになります。「古さ」は欠点ではなく、訪れたくなる理由に変えられるのです。

3. 民泊や賃貸住宅

駅に近い空き家や観光地周辺の住宅は、民泊や賃貸住宅として活用できる可能性があります。

実際に、東京都内の空き家を改修し、外国人旅行者向けの民泊として運営する事例も紹介されています。築87年の住宅を、柱や梁などの古い部分を残しながら、キッチンや浴室を現代的に改修しています。

ただし、民泊や用途変更には、旅館業法、住宅宿泊事業法、消防法、建築基準法、自治体の条例などが関係します。事業として活用する場合は、工事前に行政窓口や専門家へ確認することが必要です。

「安い物件」ではなく「改修できる物件」を選ぶ

空き家探しで注意したいのは、購入価格だけで判断しないことです。

物件価格が安くても、雨漏りや傾き、基礎の劣化、配管の交換、断熱改修、残置物の処分などに多額の費用がかかることがあります。

特に確認したいのは、次のような項目です。

確認項目主なチェック内容
権利関係所有者、相続登記、抵当権、共有名義
建物の状態雨漏り、腐朽、シロアリ、床の傾き
耐震性建築年、旧耐震基準、基礎・柱・筋交い
断熱性能壁・床・天井、窓、結露、暖房負荷
インフラ給排水、電気容量、ガス、浄化槽
法規制再建築の可否、用途地域、接道条件
周辺環境道路幅、除雪、買い物、医療、地域ルール
追加費用家財処分、解体、外構、申請、仮住まい

BBCの取材でも、購入後に大きな雨漏りが見つかり、改修費用が別途必要となる事例が紹介されています。また、SNSでは安価な取得価格や完成後の美しい写真が注目されやすい一方、工事中の問題や維持管理の負担は見えにくいと指摘されています。

空き家リノベーションを成功させるには、「いくらで買えるか」ではなく、「購入費、改修費、諸費用を含めて総額はいくらか」を考えることが大切です。

性能向上を組み合わせる

古い家の魅力を残すことと、住宅性能を高めることは両立できます。

例えば、次のような改修が考えられます。

  • 内窓の設置や高性能サッシへの交換。
  • 屋根、天井、壁、床の断熱強化。
  • 浴室や脱衣室の断熱・暖房対策。
  • 雨漏りや外壁の補修。
  • 耐震診断と必要な補強。
  • 給排水管や電気配線の更新。
  • 防犯性を高める玄関ドアや窓への交換。

見た目のデザインだけを優先すると、冬の寒さや夏の暑さ、結露、光熱費といった問題が残ることがあります。

特に東北地方の空き家では、断熱性能と暖房計画が暮らしやすさを大きく左右します。窓からの熱損失を抑える内窓の設置は、比較的工事しやすく、既存の外壁や窓周りへの影響を抑えながら改善できる方法の一つです。

古い家の味わいを保ちながら、耐震・断熱・防水・防犯といった基本性能を高めることで、空き家は長く使える住まいへと生まれ変わります。

空き家再生は地域の未来にもつながる

空き家のリノベーションは、所有者や購入者だけの問題ではありません。

空き家が活用されることで、次のような効果が期待できます。

  • 建物の倒壊や火災、不審者侵入のリスクを減らせる。
  • 景観や周辺環境の悪化を防げる。
  • 地域に新しい住民や事業者を呼び込める。
  • 空き店舗の再生によって交流の場が生まれる。
  • 地域に残る建物や文化を次世代へ引き継げる。
  • 解体・新築に比べて既存資源を有効活用できる。

国土交通省も、空き家について「しまう」つまり解体する方法だけでなく、「活かす」方法として、住宅のまま売却したり、カフェなどへ用途変更したりする選択肢を示しています。また、自治体によっては改修・解体への補助制度や、購入希望者とのマッチング支援を行っている場合があります。

ただし、利用できる制度や補助金は自治体、建物の用途、工事内容、申請時期によって異なります。工事を始める前に、市区町村の窓口や専門家へ確認しましょう。

まとめ

空き家をリノベーションする人が増えている背景には、住宅取得費を抑えたいという理由だけでなく、古い家の素材や文化を残したい、自分らしい住まいをつくりたい、地方で自然とつながる暮らしをしたいという価値観の変化があります。

海外の人々から見ると、日本の空き家には、縁側、和室、庭、梁、建具など、新築住宅では得にくい魅力があります。一方で、耐震性、断熱性、雨漏り、法規制、相続登記など、購入前に確認すべき課題もあります。

空き家リノベーションを成功させるポイントは、古いものを単に新しくするのではなく、建物の良さを残しながら、現在の暮らしに必要な性能を加えることです。

放置すれば地域の負担になりかねない空き家も、適切な調査と計画によって、住まい、店舗、宿泊施設、交流拠点へと生まれ変わります。これからの空き家は、「余っている家」ではなく、新しい暮らしや地域の可能性を秘めた建物として、ますます注目されていくでしょう。

目利きの大工さんも空き家の現場視察に同行させていただくこともできますのでお気軽にお問合わせくださいね。

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