冬の電気代が高い、部屋の寒さが気になる——
そんな悩みを持つ住宅所有者や関係者にとって、GX補助金は関心を集める制度です。
この補助金は、環境性能を大きく高める住宅リノベーションや新築に対して交付されるものであり、特に断熱性能やエネルギー管理の質が問われます。
ZEHやHEMSといった用語も頻出し、制度の全体像を把握するのが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、GX補助金の対象設備や要件、背景にある制度とのつながりについて整理しながら解説します。
GX補助金の対象となる設備と条件
GX補助金の対象となる主な設備とは
GX補助金は、省エネ性能・断熱性能・再エネ活用を高める設備に対して交付されます。
対象の中心となるのは以下の3分野です。
・断熱性能向上
断熱等性能等級6以上が必要で、窓や壁、床、屋根の断熱材強化が該当します。
YKK APなどの高性能窓の導入が要件化されている補助事業もあります。
・高効率設備
エコキュート(JIS効率3.6以上)、LED照明(人感センサー付きなど)、換気設備(比消費電力0.06以下の3種換気)などが対象です。
・再生可能エネルギー
太陽光発電、蓄電池、V2H、エネファームなどの導入です。
これらはエネルギー収支を改善し、BEI(一次エネルギー消費量基準)を下げる効果が期待されます。
さらに、HEMS(Home Energy Management System)の導入が義務となる補助事業もあります。
Nature Remo Eなど、ECHONET Lite AIFに準拠したHEMS機器が指定され、エネルギーの「見える化」と「遠隔制御」が可能です。
GX補助金の申請対象となる取り組み・事業の要件
GX補助金の対象事業には、明確な性能要件と実施条件が設けられています。
・断熱等性能等級6以上、およびBEI=0.7以下(新築GXの場合は0.65以下)を満たすこと。
・リフォームの場合、改修前の断熱等級が4以下であること。
・建物の構造評点(耐震性能)が1.0以上であること。
・YKK AP製品を窓・ドアに使用していること(先導事業の場合)。
・HEMSとしてNature Remo Eを導入し、改修後の温湿度やエネルギー使用量を3年間にわたり記録・提出すること。
また、申請にはBELS評価書(第三者機関の省エネ評価)が必要となります。
事前に制度に合致した設計・工事計画を準備し、スケジュールどおりに測定や報告を行う必要があります。
GX補助金の対象外となるケースと注意点
一見対象に思えても、いくつかの要素によって補助金の対象外となる場合があります。
・既に断熱等級5以上の住宅の改修は対象外(先導事業)。
・Nature Remo E以外のHEMSを使用している場合。
・窓・ドアに他社製品を使用した場合(YKK AP必須条件がある事業の場合)。
・土砂災害特別警戒区域や市街化調整区域に該当する立地など、地理条件で制限されるケースもあります。
加えて、改修後の測定を怠ったり、計測機器を誤って設定してしまうと補助対象から外れるリスクがあるため、施工前の準備段階から細かい要件まで確認することが欠かせません。

GX補助金と制度背景の関係性
GX補助金とGXリーグ・ZEHなどの関連制度
GX補助金は、国が推進するGX(グリーントランスフォーメーション)政策の一環として位置づけられています。
その土台には、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた建築物分野の脱炭素化戦略があります。
例えば、GXリーグは企業を対象とした脱炭素経営の枠組みであり、住宅部門ではZEH(Net Zero Energy House)基準が参照されます。
ZEH水準を満たす住宅は、断熱等級5+BEI0.8以下が要件ですが、GX補助金はそれを超える「等級6+BEI0.7以下」が求められます。
つまりGX補助金は、ZEHよりも一段高い水準で住宅の性能向上を促す政策です。
GX補助金が支援する脱炭素社会の実現とは
GX補助金の根底にあるのは、建築物のライフサイクル全体にわたるエネルギー負荷を減らすことです。
特に住宅分野は、日本全体のエネルギー消費の約3割を占めており、温室効果ガス排出の削減が求められています。
断熱・省エネ・再エネの三位一体で住宅を高性能化し、結果的に冷暖房エネルギーを最大30~50%削減することがGX補助金の目標です。
さらに、HEMS導入によって住まい手が自らのエネルギー利用を意識し、行動を変える仕組みまで組み込まれています。
この「住まい手の巻き込み」も制度の核心です。
補助金の政策的な狙いと申請側の視点
政策側の狙いは、先導的なリノベーション・新築モデルを普及させ、2030年までにそれを住宅市場のスタンダードに転換することです。
一方で申請者側にとってのメリットは、コスト軽減だけでなく、エネルギーコストの長期的な削減、資産価値の向上、そして快適で健康的な居住環境の獲得にあります。
ただし、補助金を得るには高度な計画設計力と報告体制が求められるため、施工会社・設計者と連携しながら、計測・証明・書類提出まで含めた体制を整える必要があります。

まとめ
GX補助金は、高断熱・高効率設備・再エネ活用・HEMS連携といった要素を統合的に評価する制度です。
単なる補助金ではなく、GX政策に基づいた「未来の住宅モデル」を社会実装するための支援ツールといえます。
制度理解と実行力があれば、住宅の省エネ・快適性・資産価値を一気に高めるチャンスでもあります。
申請には専門的知見が必要ですが、制度の趣旨を把握すれば取り組む価値は十分にあります。
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